私の背景 1
私は、博士課程を終了してから7年間大学の教員をやっていました。
助教4年、講師3年でした。講師の任期満了時に今後の自分のキャリアをどうするか考えました。私は大学教員をやっているときに、科研費を取ることができませんでした。論文も3報しか出すことができませんでした。
この状況は私が今後、アカデミックに残ることは不可能であることを意味していました。
大学でのラスト4年間は、自分の全てを捧げて研究に打ち込みました。その結果、トップジャーナルと言える論文にファーストオーサーの論文を投稿することができました。
論文投稿後の私は燃え尽き症候群とでも言える状態だったのかもしれませんが、とにかく疲れていました。これから先、この状態を続けて、アカデミックの世界を生きていくことができるのだろうかと思いました。
またお金の心配ももの凄くしていました。大学教員時代の給料は手取り360万程度でした。私は結婚しており、子供もいます。この給料で将来どうなっていくのだろうと思いました。加えて、今後大学でポジションを取り続けることができるのだろうかとも思いました。
私より遥かに優秀な人たちが、あまり知名度のない大学でポジションを取っていくのを見てきました。
そのような状況の中、私は大学でパーマネントのポジションを取るのは無理だろうなと思いました。十分な給料が保証されていればいいですが、そうでない場合、日本全国どこの大学でもいいというわけにもいきません。家庭がありますから。単身赴任できるだけの給料がもらえる大学に絞るだけでもポジションが限られます。さらにそのような都合のいいポジションがあく保証もありません。
そのような背景から私は大学を離れることを決断し、企業の研究員として働く道を選択しました。